11.君への想い

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それでも、泣き止んで微笑んでくれた時は、かなり可愛いと思ってしまった。 その時、それで再確認させられてしまった。 僕はこの人に恋をしているんだなって。 憐香さんがテントで一緒に寝ている時、その寝顔が辛くなった。 見ていると心地いい、でも、無防備過ぎるのはどうかと思う。 僕はこの人に殺されたい。 いつ死ぬか分からない戦場で生きてきたせいか、愛した人の前で……その人に殺されることが幸福だと思ってしまった。 ―――けど、僕はまだ生きていたい。憐香さんとこうしていてもいいかもしれない。 まだ黒条さんのことは言っていない。 これからも、こうして憐香さんと暮らしていきたかった。 けれど、そんな矛盾したことを考える時間は、終わりを告げた。 次の日、憐香さんに叶えてあげられることはないかと言われたので、デートがしたいと答えた。 憐香さんは知らないけど、僕は憐香さんが好きだから。 死ぬ前に、一度でもいいからしてみたかった。 けど、デートというのはどういうものなのか知らなかったから、お茶を飲んで、服を見て、憐香さんにぬいぐるみを買ってあげた。 僕が次に何処へ行こうかと考えていた時、憐香さんがある店に目を奪われているのに気がついた。 僕は何を見ているのかと聞くと、あからさまな態度だったので、すぐに理解できた。 憐香さんの視線の先には、店頭に並んだぬいぐるみが置いてある。 欲しいのかと尋ねると、慌てて否定する憐香さんの態度は見ていられなかった。 「買ってあげましょうか?」 僕がそう言うと、子供のように喜んで、可愛らしかった。 僕は憐香さんに本気で惚れていた。 その時は感じなかったけど、今なら分かる気がするよ。 それから憐香さんとある約束をした。 これから頑張って、挫けず生きてゆくこと。 あの時、何で僕はあんなことを言ったのだろうか? もしかしたら、この後に起こることを直感していたのかもしれない。
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