11.君への想い

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「僕が手紙を残しておきます。きちんと薬で憐香さんを操って殺されたって……それを説明しておけば、少しはそれもなくなるかなって……」 ―――死を選んだのは僕自身なんだから……。 「……お前はそれでいいのか?あの女を愛しているんだろ?」 僕はその当たり前の問い掛けに、静かに答えることができた。 「好きです。……愛しているから……だから殺されたい」 あれで影流は分かってくれただろうか? 多分、何らかの仕掛けをして僕を止めてくるはずだ。 だから、念のためにナイフの刃先に毒を塗っておく。 これで、どんな仕掛けがあったとしても無駄になるから。 その時、僕の手は震えていた。 ―――僕は……死ぬんだ。 憐香さんに殺される。 それは嬉しくもあり、怖くもあるが、やっと罪が償えることができる。 憐香さんには後で質問に答えると言って、薬の入った料理を用意する。 手紙で質問の答えを教えることとなるのだから、嘘ではない。 その手紙は、今日買ったぬいぐるみに置いておくことにしよう。 僕は憐香さんの待つ部屋に入るのを落ち着くまで待っていた。 ―――手が震えている? そして料理を運んで、憐香さんに食べてもらった。 これで感情は虚ろになって行動することとなる。 完全に憐香さんの体に薬の効果が表れるのを少し待つ。 すると、憐香さんの様子がおかしくなってきた。 認識能力の低下を起こしているから、すでに僕のことは分かっていないはずだ。 「貴方は……誰?」 僕が誰なのかと問いかけると、憐香さんはそう答えた。 憐香さんに忘れられたのだと思うと、涙が溢れそうになるのを感じた。 それでも僕は、止めることなんてしない。 そして僕は憐香さんにキスをした。 もう、これで未練なんて少しもない。 ただ、憐香さんはこれが何なのかを分かっていないのが残念だった。 何もわからない憐香さんにキスをしたことが、嬉しくて、悲しくて、惨めに感じてしまった。 そして僕は言葉を紡ぎ、憐香さんにお父さんのことが好きかと問い掛ける。 憐香さんは当然のように頷く。 ―――これで……良いんだ。
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