第一部 俺と杏子

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~~第一章 眠り姫~~ 俺の名は南稔。 友人からは稔って呼ばれている。 4月から、俺はとある会社に勤め、親には『自立する❗』と虚勢をはったため、泣けなしの給料をはたき、マンションを借りて移り住んだ。 スーッ、スーッ… そして俺の横で可愛い寝息をたてているのは、塚本杏子。 俺が通っていた大学の2つ下の後輩で、彼女でもある。 杏子は同居することになって、だんだん症状が現れた …いや、俺が今まで気付かなかっただけなのかも知れないが、こいつは寝起きが悪い。 というより、いくら起こしても全く起きない。 そしていつも、俺が朝飯を作り終わった頃に起きてきやがる。 それと後、問題なのは抱きつき癖である。 毎朝、杏子の腕から逃れるのに、どれだけ苦労することか。 本人は否定するのだが、こいつは絶対、実家ではベットに人形を入れて抱きついて寝てたに違いない。 断言してやる!! …そう言えば、こいつと初めて会ったのは、いつのことだったか。
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