はじまりの

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手を伸ばす前に やつは揺れた 滅多に揺れない やつなのに   喋り出す前に やつは笑った お前の話はなんて面白いのだろう と     あんたはずっと そこから動かない コンクリートに埋められるかも しれないのに どうして動かないの?     そう私が問うと あんたはやっぱりクスクス笑って 私の鼻先に手を伸ばした あぁ、いいかおり。     「ここから動いてしまったら」 「お前がアタシを」 「見つけられなくなるだろう?」     クスクス。 笑うあんたには 頭があがらない 照れ隠しに どうでもいいことを ひとつ   今日もあんたは綺麗だね
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