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「千尋。ちょっと下りてきて手伝ってちょうだい」
母さんだ。
「はーい。今行く」
台所でせわしなく野菜を切っている母さんに呼ばれて、宿題をしていた手を止める。
2階の僕の部屋から下りて、台所をひょいっと覗き込む。
「なに?」
「ちょっとね、どうやらお野菜が足りないみたいなのぉ。人参さんととうもろこしを買って来て欲しいのよ」
「いいよ。僕行ってくる」
母さんから財布を渡されて、自転車で5分のスーパーへ急ぐ。
今日は隆暁さんの為と思うなら、何だってやる気が出る。
僕はいそいそと買い物を済ませ、また自転車に乗ってルンルン気分で家に戻った。
あと2時間で5時。
5時半には家に着くから良い子で待ってるんだよって、昨日電話で隆暁さんに言われたんだ。
くぅ~! 2時間半がすごく長く感じるよう。
家に戻ってからは母さんの手伝いをした。野菜を切るだけだから簡単。
あとは、大人の為のビールや焼酎に使う氷を冷やしたり、父さんを手伝って、隆暁さんの家の庭にバーベキューセットの用意をしたり、食事をするためのテーブルのセッティングも手伝った。
今日は兄さんも仕事を切り上げて、4時過ぎには帰って来てくれた。
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