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( ´ω(∴)「帰ろう……」
しばらく泣いた後、ボソリと言った。まるで自分に言い聞かせるかのように。
自分以外の誰もいない空間、誰にも聞こえない声、本当に小さな声を溜め息とともに。
ブーンは力なく立ち上がる。けれど、散々弄ばれた体はなかなか言うことを聞いてはくれなかった。
フラフラと壁に手を着き、歩くのも辛いのがはた目からもすぐに分かる。
トイレのノブに手をかけ扉を開けようとしたとき、ブーンはあることに気が付いた。
鞄が教室にあることに。
少しばかり、時間で言えば一分弱考えたが、こんな顔をして教室には入りたくはない。
鞄は置いていってしまおう。ブーンはそう思い、重い体に鞭打って玄関を目指し、よたよたと歩き始めた。
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