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駅からすぐのカフェ。私は今日アルバイトの面接だった。なのに、朝から嫌な事ばかり。ラッシュでキメてきた髪は乱れるし、お気に入りの靴には踏まれた跡がはっきり残ってるし。
駅のトイレに駆け込み、一息つく。簡単に髪を整え、ティッシュで靴を拭いた。時計を見て、時間ぎりぎりなのに卒倒し、面接場所に向かった。
「はぁ~」
口からため息が零れる。持ってた携帯を鞄にしまう。
面接は見事に落ちた。その電話だった。
私は早めのランチでファミレスに来て居た。目の前には注文したパスタとジュース。フォークで豪快に口に運ぶ。この前の高校生が頭に浮かんだ。あの日は朝から運が無かった。ムスッとなり、ジュースをぐいぐい飲みほす。味わって食えたもんじゃないと思った。
ファミレスを出て、本屋へ立ち寄った。色んな雑誌を立ち読みし、アルバイト情報誌をレジにて購入。店を出ようとした時だった。 「おい、あんた」
と声かけられた。私は振り向く。そこには男の子が立っていた。一瞬、誰だか解らなかった。
「あんた、足踏んだろ」 「あっー!」
私の声が彼の声を遮る。 こいつは、面接の日の元凶の高校生。頭に血が上る。怒りが込み上げてきた。 「あんたのせいで、面接落ちたんだから!」
「はぁ~!?」
私は彼を一回睨み、その場を跡にした。
だけど彼は後ろから追い掛けてき、何度も声をかけてくる。無視し続けるが、腕を掴まれそれは困難になった。
「何よ」
「だから、足踏んだろ。それもわざと」
「だから何?」
「痛かったんだよ、謝れよ」
何言ってるの、この子?私は、キッと睨み腕を振り解く。大きく息を吸い一息で言った。
「あんたが最初に人の足踏んだの。なのに謝らなくて、悪びれない顔して。だから頭に来て同じ事してやったのよ!」
謝って!私は言った。
じっと黙って彼はこちらを見る。だけど謝ろうとしない。周りをキョロキョロ見回すと、またも人の腕を掴み歩き出した。
「なっ、何!?」
素っ頓狂な声をだしてしまった。そんな私をお構いなく、彼は知らんぷり。知らず知らずの内、彼のペースに乗せられてしまった。
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