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 気付けば、近くの公園。ベンチに彼は腰掛け、私はそれを見下ろす形になっている。  「あんたさー、あんな人が一杯居るとこで騒ぐなよ」  彼は言う。呆れ顔だ。  「何よ!こんな所連れて来てその言い草!」  「あんたの、その声!目立つんだよ」  「だから何よっ」  「電車で足踏まれた時、痛いって言っただろ。あん時も皆に見られて、俺恥ずかしくて謝れなかったんだよ」  彼はそう言った。  まじまじと私は彼を見る。何だ…謝る気あったんだ。  「そうだったんだ。じゃあ今謝って!それに見てこの靴!」  今日履いている靴は、先日面接の日履いていた物だ。踏まれた右足を指差す。くっきり踏まれた跡が残っている。  「…悪い」  靴を見て、一言。そしてあんたも謝れよと、付け足す。  「ごめんなさいね」  私は横を向いて言う。彼の言い方が理不尽に聞こえたからだ。  「…あんた、まともに謝れないの?幾つだよっ」  済みませんね、大人気なくてと私は思った。  「23です」  「ふ~ん、もっと若いかと思った」  そう言う彼と、目が合う。よおく見てみると、高校生よりも社会人の方が似合う。それは私服のせいかと思えたが、彼は私よりも大人っぽく見えた。
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