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 「…明日香、甘いもの好きなっ」  「うん。大好き」  「見た目は、甘いの苦手そうに見えるけど」  よく言われるよ、私は苦笑いする。  「味覚は、すごく子供なの」  怜は、私を見て笑った。眼鏡の奥の瞳が細くなった。こんな表情も初めて見る。何か私が付き合って来たことのないタイプの人間かもしれない。見た目はかなり、知性的。顔は派手ではないが、整っているし。体格も細くはないが、バランスの取れた肉の付き方をしてる。髪は漆黒で耳にかからない程度に切り揃えられ、女の私からも羨む位、サラサラだ。  「綺麗な髪-」  私は呟く。怜は女みたいだろと、笑った。  黙って見ていると、怜は良い男だという事に、ようやく気付いた。  「あんた…モテるでしょ?」  「…突然、なんだよ」  怜は面食らっていた。店員が運んできた、アイスコーヒーを飲み、むせて咳こむ。  「大丈夫っ?」  水の入ったコップを渡す。グビっと一気に飲む怜を見て、おかしくなった。  笑っていると、不服そうに怜は見てきた。  「俺は男子高だから、あんまり女と出会うきっかけないよ。だから、モテた経験も無し」  と怜。コホンと咳を一つ。  「そうなの?」  ふーんと呟く。運ばれてきたケーキを口に運ぶ。甘いフワフワした食感が口に広がり、満面の笑みを浮かべる。  「てか、明日香はモテるの?」  テーブルに頬杖つき、怜に逆に聞かれた。少し考え、別にと答えた。
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