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(冗談じゃねぇ!)
『宏ちゃん?』
無邪気な由紀の声に二ヶ月前の地獄を思い出して、とっさに嘘を考える。
「う……あのさ、今 家にいないんだよ。昔の友達がたまたま店に来て、久しぶりに。そいつン家で飲み会。だから……また今度な」
しどろもどろで吐いた嘘だ。
「友達」が誰か、つっこまれたら何と言ったものか。
由紀は無意識に鋭いところを突くから。
『えぇ~?うーん……そっかぁ、わかった。じゃあ今度ね。おやすみなさぁいっ』
ツー……
「はぁ……」
生きた心地がしない、とはこの事だ。
ひとまずは疑われずに済んだ。
しかし。
(まずこいつをここに連れて来たのが間違いだよなぁ……)
今日は仕方ないとして、長くても四、五日…いや、三日だ。
素性も知れない奴を泊める義理は、無い。
家でどんな事情があるにせよ、俺には関係ない。
早く追い出さなくては。
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