第2章 面白い他人

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ピピピピピピピ…… (うっせ……) 翌朝。 俺はベッドに寄りかかった体勢で目を覚ました。 目覚ましを止めついでに時間を見れば、十時半。 外はもう明るくて、近所のガキ共の声が響いている。 (背中痛ぇ……ってか何でこんな格好で寝てんだ?) するとキッチンから トントントントン……ジュー……ッ という音がドア越しに飛び込んできて。 (由紀……?あ?ウチに連れて来たっけ……?) 昨夜の記憶があやふやで、由紀が遊びに来た覚えがない。 立ち上がると、背中から誰かが掛けてくれたらしい毛布がばさりと落ちた。 (……!) 反射的に(やらかした)と思った。 言っちゃ悪いが由紀はこんな気の利く女じゃないだろう。 また誰か女を連れ込んだらしい。 それにしては全然身に覚えがない。 (昨日は飲んだ記憶もないんだけどなー……) 低血圧で寝起きが悪く、全く頭が働かない。 (誰だ……?) 腑に落ちなくてキッチンに顔を出す。 「……あ」 「おっ、おはっ、おはようございますっ」 長い髪を一つにしばった詩がいた。 今の今までこいつの存在を忘れていた。 なるほど、昨日はソファで寝るつもりだったのが、結局ベッドの横で眠ってしまったらしい。 だんだん記憶が戻ってきて、酔って連れ込んだんじゃないと安心する。 もし酔った勢いで連れ込んで、あげくその事を憶えていないなんて言うと、女というのはやかましい。
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