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「ー…」
困る…何て言えば…
俺が困り果てているとお兄さんは優しく笑う。
白く儚い華が咲いたようだった。
「世恭くん輝羽のこと好きでしょ」
「ッ…」
直球。
お兄さんは意地悪そうに笑うでもなく、ただ、嬉しそうだった。
「少なくとも輝羽は君のこと好きだよ」
さらりと言う。
「あの子はね、人に恋愛感情を抱いたことはないんだ」
一つひとつ、つむぐように言葉を並べる。
「まぁそれはほとんど俺のせいでもあるんだけど…俺が可愛がりすぎたのかな」
微かにお兄さんの瞳が揺れた。何処を見ているのか分からない。
「輝羽は自分と他人に一線をおいて、家族以外の愛を知らない。だから輝羽自身も他人を愛すことを知らない」
俺の胸がつきんと痛んだ。
『愛すことをしらない』
あんなに可愛く笑顔で笑っているのに…?
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