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「そんな子がね、君を見つめる目に熱をこめてる。…もちろん無自覚だろうけど」
お兄さんは俺の方を向き、
「気付いてた?」
と聞いてきた。
ホントに…この人の問いは何で答えにくいものばかりなんだ。
「気付いていないと言えば嘘になります。俺に見せる表情と、俺以外の人とでは…違っているように思えますから」
クラスメイトと話しているときより、俺との方が和やかなのは確かだ…
が。
「ですがそれはたんに『なついている』と俺は思いますが」
とてもじゃないが恋愛感情にはみえない。
「確かにそうとらえることもできるよ。さっきも言ったけど輝羽自身も君が好きだってこと、気付いてない。まぁ…俺は教えてあげないけどね」
なんですかソレ…。
俺が少し顔を歪めると、クスクスとお兄さんは笑う。
「だって俺が何かを言うより、君がある一言をいうほうが、輝羽は覚醒するでしょ?」
『ある一言』…あぁ、そういことか。
「話脱線したけど…どうかな?輝羽の面倒、みてくれない?」
俺はくすりと口元だけ笑って
「お兄さんが入院している間と言わず、一生みるつもりですが」
それだけ言って、一礼して部屋をでた。
輝羽に『ある一言』を言うために。
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