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二人が角を曲がって見えなくなると、悠季が苦笑する。
「見た?いつもウザイぐらい存在感がある世恭が、さっきは声かけられるまで気付けなかった」
ふっと硫飛が鼻で笑う。
「よっぽどだな」
「本当、輝羽さんのお兄さんに背中を押されてってかんじだね」
二人はとぼとぼ輝栄の病室へと歩きだす。
「余ったもん同士、いっそのことくっつくか」
「冗談じゃないっ!!
君頭おかしいんじゃないの!?
…僕はまだ、諦めないよ」
声が低く、誓いの言葉のようだった。
「ま、俺もだけどな」
吹き抜けた風が二人の頬を打った。
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