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「イッヅッルぅ~
散歩行こやあ」
執務業務をこなす、三番隊副隊長、吉良イヅルの背後から猫なで声でだきついたのは、彼の上司、隊長の市丸ギン。
イヅルのこめかみの血管がプチリとキレた
音がした。
「あんたぁは、この机にのしかかっている山積みの書類を見てどうも思わんのかああ~!!」
キレたイヅルに誰も恐れをなして、部下達はそそくさと逃げ去っていて、室内は二人を除いて誰もいなかった。
ガミガミと説教を受けるギンは身を小さく縮めしゅんとうなだれぼそぼそとしゃべりだした。
「だって、昨日、屋根で日向ぼっこしてたら、向こうに綺麗な花畑あったんや。そりゃ色美しゅうて、イヅルと一緒に見に行こ思って絶対喜ぶ顔見たかってなあ」
そないに怒るとは自業自得やな、僕は…
後ろを向きしょげた市丸をみて、イヅルは先程の怒りはナリを潜めて、隊長服の袖を掴んだ。
「すみませんっ
隊長の心遣いを踏みにじって怒りに我をうしない、上司に向かい無礼な発言を許してください。
私を気遣いいただき、ありがとうございます。
あの~この急ぎの書類を片付けたら、一休みとして、市丸隊長の花畑連れて行ってくださいませんか?」
がばっと振り返り、にんまり笑顔で答える。
「イヅルは悪ないねんから。僕の尻拭いしてもらていつもありがとうな
ほな、急いで仕上げて、一緒に見に行こなあ」
イヅルはわあっ~と市丸の胸に飛び込み、泣き、それをあやす市丸の口元にはにんまりとしたどす黒な笑みを讃えていた。
…一応ほのぼのです(笑)
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