その手に抱きしめる友は、ただ静かにほほえんで……

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次にヒレルの姿に目をやるカリンツ ヒレルは、口から夥しい量の血を吐いていた 右手は切り取られていた カリンツが、血まみれで地面に横たわるヒレルの体を胸に起こし叫んだ ヒレルっ!ヒレルっ!大丈夫かと… すると、気力を失った声でヒレルが小さくつぶやいた カリンツ…ゴメン…食料…か…確保ミスっちゃた…と ヒレルの、声にカリンツは唇を震わせて話した そんなの大丈夫だよ だから、もうボロ家に帰ろうと ヒレルは、小さく頷き こう話した カ…カノンちゃんと…もと…話したかたな~と ヒレルを抱くカリンツの手に力が入り カリンツの瞳からは、大粒の涙が溢れた ヒレルがカリンツの手に、自分の左手を当てると…最後に、こう言った カリンツ…今まで…ありがと…ね。そして、バイバイだね。 カリンツ…あ…りがと…う カリンツの手に添えていたヒレルの左手が、ゆっくり落ちた カリンツが、唇をガタガタ震わせてヒレルに必死に話しかける ヒレルっ!ヒレルっ!目を開けてよ!ヒレル ねえ、ほら起きてよ!早くボロ家に帰ろうよ!ヒレルぅ~と 何も語る事の無いヒレルの表情はカリンツの腕の中でほほえんでいるように見えた ヒレルの亡き姿を強く抱きしめるカリンツ その場には、風の音とカリンツの泣き声だけが響いた 何分過ぎた事か…瞳を赤く腫らしたカリンツはラスクを肩にかけ、亡き姿のヒレルを背負いボロ家へと向かった ボロ家へと向かう途中、カリンツは初めて声を出し大声で泣いた ボロ家へと着くと…ラスクの手当をブートに頼み カリンツはヒレルの身体中に着いた血を拭いてあげた そして、ヒレルの血を綺麗に拭き取るとカリンツは、ヒレルが息を引き取った事をカノンとブートに伝えた 誰もが、悲しみにくれる状況だが、カリンツはブートに何故、大人に襲われたのかを聞かなければなかった ブートは、ありのままをカリンツに伝えた いつも通り、食料探しをしていたら、背後から急に大人に囲まれ ヒレルが最初に捕まった、ラスクはカリンツにこの事を伝える為、ブートを逃がしたと ブートが、カリンツに話し終わると、同時に意識を取り戻したラスクがカリンツに話した 大人は自分達が邪魔だと… 毎日毎日、色んな場所で食料確保する自分達を消してやると言われた事を告げた カリンツは、自分達が狙われていると確信した が、カリンツには好都合だった ヒレルの仇を打つ為だ
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