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ふと気づけば 音のない世界
生きている音がひとつもない
凍てついていて 淋しい世界
『みんな どこ…?』
音のない世界をただ走る
何も聞こえてこない世界で
走り疲れて 脚を止めて 空を仰ぐ
ふわり ふわり
ゆっくりと舞い降り始める雪
呼吸を整えて 瞳を閉じ
『探しに、いかなくちゃ…』
小さく呟いて 瞳を開いて
『…………え…?』
戻した視線の先に 呼吸を忘れた
『っ…あ、ぁ……』
それは 慕ってくれた人
それは 励ましてくれた人
それは 切っ掛けをくれた人
『ど…して…こんな…』
それは 畏れつつも憧れた人
それは本心を隠した優しい人
それは 純粋で一途な人
『こんな…う、嘘だ…』
“それ”は
守りたいと思ってた 大切なもの
『…うそ、だ…嘘だ…っ!』
それは 白銀に沈む 大切なもの
その瞳に自分を映してはくれない
自分に笑いかけてはくれない
温もりのない 凍てついた體
『嘘だぁぁあっ!!』
生きている音がひとつもない
凍てついた 淋しい世界で
ひとり 醒めない悪夢をみる
どうか かみさま
もし そこにいるのなら
このユメだけは 現実にしないで
大切なものを 奪っていかないで
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