一ノ章

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   クシャクシャになったシーツ     その中に投げ出された身体     乱れ 散らばり 広がる髪     なんと滑稽なのだろうと    ふと 溜息をひとつ       悲しいのか 淋しいのか     どちらとも言えない表情で   二人 抱き合って眠った     あの頃と現在を重ねては    虚しさを抱えて嘲笑うばかり     神などいないと教えられ   遠い日の 過ちへの復讐を誓った    奪われる前に潰してしまおう      そう呟いた君に涙して     幼い誓いの接吻をひとつ        視界を閉ざすように      傷と罪を抱える腕を   そっと 目蓋の上に置く               「 嘘でも 」             利用されているだけでも      それでも 良かった    ただ 傍にいてくれるなら…    
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