一ノ章

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     振り向いたその背後    迫る腕の気配に 瞳を伏せる    ゆっくり伸びてくるその手は    逃げ出した罪か見捨てた罰か      教えてくれる者など     もう此処には存在しない         暗闇を引き裂けば    其処にいるのは あの日の君   真綿で首を締めるように包み込む     温ま湯のような優しさに    恐怖し 狂い 全てを壊した      もう一度この指に触れたなら    その時は 二度と帰れぬよう    咎の森に連れてってあげよう   二人だけの刻を過ごす その為に             「 さぁ 誘いなさい 」             二人だけの痛みを受けて     二人だけの傷みを抱いて     二人で永遠に 咎の路へ             「 捕 ま え た 」             もう何処にも行かせない     もう二度と かえさない    
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