曖昧

6/7
前へ
/7ページ
次へ
飛び乗った電車は、いつの間にか海岸線を走っていた。 どうして? どうして? どうして?毎日、毎日苦しいの? 私は毎日、同じ事を自問自答する。 電車は、終点の駅についた。 降りたことのない町… 行く宛もないまま町をさまよった。 道行く人は、みんな楽しそう。   自分でもわからない、どうしても満たされない・・・ 「ねえ、一人?」 「・・・・」 「お腹すいてない?」 「・・・・・・」 見上げると、あどけなさが残る20歳くらいの男が私を覗き込んでいた。 「具合悪いの?」 「・・・・・」 「ナンパとかじゃないんだ、そんなところに座り込んでるから気になって。」 「・・・・・」 「怪しいよな、俺、本当にただ気になって。」 あまりに必死に弁解するから、 「具合悪いわけじゃないの。」 「そっか~、よかった。やっと口きいてくれた。  この辺さ、あんまり治安良くないから心配になって」 この人の笑顔って素敵だなって 漠然と思った。 「・・・・」   なんとなく、この人ともう少し話がしてみたい・・・ 「ねえ、お腹すいてない?顔色悪いよ。 まあ、俺が腹減ってるんだけど。 言い方を変えよう、そこのケーキ屋のパスタが食いたい。が、しかし、 女性客がとにかく多い、一人で入るのは勇気がいる。 できれば、一緒に入ってもらえると助かります。」 ペッコっと頭を下げられちゃった。 「アハハ。」 笑ったのなんていつぶりだろう、 「ありがとう。一緒にいってもいい?」 もう少しだけ、話がしてみたい。 本当に心からそう思った。 「助かるよ~。朝から何も食べてなくってさ、死ぬかと思った。」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加