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病院へ到着すると、周りは静まり返っていた。
当たり前か、生きた人間は一人もいないからな。
バイクをさらに走らせ、入り口に向かう。
『ん?』
入り口に止めてある車…
いくつかは壊れているが、一つだけ新しい。
『先客か?』
『別任務じゃないか?リッカーの確保じゃなく撃破ならBランクぐらいだ。少し実力があれば―――』
『わあぁぁ!』
突如響く叫び声。
それはもちろん病院の中から…
『…やれやれ、別の苦労がありそうだな』
『だな♪いくぜ!』
リュゼは愛用している武器、サブマシンガンを取り出して病院内へと走りだした。
めんどくさくなりそうだ…そう感じながらも俺は手にハンドガン、腰に主力武器のショットガンをさしてリュゼを追った。
『ああああ…』
中はゾンビゾンビゾンビ…まったく気色悪い。
『邪魔すんな!』
リュゼは一番近くにいたゾンビの頭を蹴り飛ばす。
腐りきった肉でできたゾンビの首はその衝撃だけでちぎれ、首を無くした胴体はフラフラと数歩歩いたところで倒れた。
『しゃらぁ!』
近くのゾンビをあらかた片付けると、リュゼはサブマシンガンを連射し遠方のゾンビを撃ち殺した。
さすがナンバーツーになる程だ。俺がいくまでもなかったな。
『おい!誰かいるんだろ!どこだ!』
走りながら叫ぶリュゼ。
すると遠くから助けを求める声が聞こえた。
声からすると一人じゃないな…
『リュゼ!後ろは気にするな!』
『もとから気にしてねぇよ!頼りにしてるぜ♪』
リュゼは青色に染まったロングヘアーを揺らしながら笑った。
笑った顔は本当に女のよう…少し照れ臭くなったのは気のせいだよな、俺。
『助けてくれー!』
走るにつれて鮮明に聞こえてくる声。
『この部屋だ!』
扉を開くとたくさんのベッドが散乱している。入院患者が寝る部屋だろう。
しかしそんなのよりも…
『おいおいまじかよ…』
部屋の中央で武器を構える男女三人。
そしてそれを取り囲む五体の化け物。
間違いない。リッカーだ…
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