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『あ!ナイト様!』
三人のうちの一人、女が俺を呼ぶ。ナイト様?そんな呼び方をするのは…
『フィリネか!』
『ナイト様!助けてください!』
『助ける助けないじゃない、リュゼ!捕獲は一匹でいいからな!』
『わかってる!他は殺すぞ!』
リュゼはサブマシンガンを天井へ乱射した。
その音に全てのリッカーがこちらを振り向く。
『今だ!お前たちは隅にいろ!巻き込まれたくないならな!』
リュゼに言われたとおり、フィリネを含む三人は部屋の隅にうずくまるように隠れた。
『シャァァァ!』
突然リュゼの後ろから一匹のリッカーが飛び出す。
しまった、六匹いたのか!
『アギャァァァ!』
リュゼに近づく前にショットガンで足をふきとばす。
痛みからかそのリッカーは叫びながら距離をおく。
『よし、捕獲するやつはあれでいいだろう。一気にいくぞ!』
『おぅ!』
リュゼに背中をあずけショットガンを構える。
一匹がばか正直に突っ込んできたので顔面をショットガンでふっとばす!
ふきとぶ頭部、そしてふりかかる血。
人間のように赤いが、人間の血じゃ味わえない快感が体を駆け抜ける。
『へっ!どんどんこいよ!』
『大丈夫か?』
うずくまる三人に声をかける。辺りには動かないリッカーと、バイオウィルス用神経毒により体を麻痺させたリッカー。
そう、任務は達成した。
『ありがとうございます!』
フィリネが立ち上がり急に飛び付いてくる。
怖かったのだから仕方ない、仕方ないが…
『離れろフィリネ、無い胸がギリギリあたってるぞ』
『あ!すいません』
恥ずかしそうに離れるフィリネ。
とりあえずここは危ない…離れるとするか。
ボコッ―――
『…あ?』
突然崩壊するフィリネ達の真後ろにある壁。
そして男の胸を貫く大きく鋭い爪。
『なんだ…こいつは…』
男のことを心配するよりも俺の頭は目の前にいる化け物でいっぱいだった。
リッカーとは比べものにならない…
『フフフフ…』
『どうされました?タナトス様?』
『いや、なんでもない』
タナトスは窓から外を眺める。
『実験から生まれた可愛いガリス…たくさん人を食らうのだよ♪』
誰にも聞こえない声で呟く。
すでにタナトスは昔のタナトスではなかった…
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