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部屋でボーッとしていた。
開いた窓からは雪が融けきっていない春の冷たい空気を夜が迫っている夕暮れが包み、時折レースのカーテンを揺らしている。
端から見れば幻想的にでも見れるだろう。
だが気分は酷く落ち込んでいて、むしろ正反対の薄気味悪さを放っていた。
これから夜が来る。
子供の頃、暗く人気の少ない場所を異様に怖がったりはしなかったか?
たとえ近くに誰かがいたとしても…例えば、トイレに行く為にドア1枚隔ててその向こうの闇に身を包むと、得体の知れない何かに連れていかれるような気がしなかったか。
成長して今更、何故だかわからないがそんな気がして無性に怖かったのだ。
そして、夜が来た。
当たりは闇に包まれ、部屋に差し込む電灯の灯りが何とも薄気味悪かった。
ふと、後ろに気配
1人じゃない。何人もの人の、こちらを見ている気配。
ぽっかりと浮かぶ月が、赤かった。
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