2009.1.8

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どこか廃墟に立っている。ここはどこだろう?ガラスが張られていない窓の外は透き通るような青い空、白い雲。ぽかぽかと陽の光が差し込んでとても癒される。     しかし、そんな暖かな風景とは裏腹に、部屋の中は寒い。凄く寒い。足先は勿論内臓、肩や眼球の裏までもが刺すように痛い。腹筋が凍りつく寒さに抵抗するように震えている。     改めてよく見ると自分は何も見に纏っていなかった。そりゃあ寒い訳だ。何故?外は快晴バーベキュー日和。わかるだろ?     刺すような寒さに何も疑問を抱かずに、塵や灰の積もった廃墟を散策した。壁や床は不思議と生暖かく、歩くのは苦痛ではなかった。     部屋の隅にぽつんと置かれた灰色の藁人形以外に何も面白いものが無い事がわかると、街に出ようと窓から飛び降りた。     飛び降りた瞬間に背中から羽根が生えたので落ちることはなかったが、肩甲骨を引き抜かれたかのような痛みが身体中に広がった。     痛い。挫けそうだ。俺にはやらなきゃならない事があるのに。やらなきゃならない事?何をやるの?誰が?忘れた?     空中ベッドに座りながらそんな下らない事を考える。どうやら羽根があれば浮いていられるらしい。     ふと真横にあったビルの窓を見ると、自分が写っていた。窓に写った自分は不思議と幸せそうだった。     そんな自分を汚ならしいと思いながら見ていると、一瞬、醜く歪んだ気がした。何があった?いや、元から醜かったじゃないか。何を考える必要がある?     そして、窓の中の醜く歪んだ自分がまるで水銀を見に纏ったようなドロドロの手を伸ばしてきて、心臓を骨ごと引きちぎられた。     おびただしい量の血の飛沫と透き通るような青い空の中、静かに歪む自分の顔に見送られて闇の中に堕ちていく。     今日も平和だなぁと思いながら墜落。目の前が血で黒く染まり、起床しました
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