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世界は白黒だった。
あたり一面雪が積もっているかのような凹凸が黒い影を作っていて、その幻想的な風景とは裏腹に、見上げた空は吸い込まれるような一面の黒が僕を見下ろしていた。
何かしなければならない事を思い出し、歩き始める。砂に足を取られ、歩きにくい。まるで砂漠の中を歩いているような感覚。
遠くに友達がいる。元気が取り柄で話好きのMだ。
だがいつもとは様子が違う。貼り付けたような笑顔でどこか宙を見ている。
僕はそんなMを清々しい気持ちで見ていた。多分ニヤニヤしていたと思う。見ていていたたまれなくなったが、それが逆に面白かったのだ。
すると、Mの顔が風船のように膨れ出した。頭からはみしみしと何かが裂けるような音が鳴り、目は引っくり返り、耳や目から血が滴り落ちている。
白と黒しか無い空間に赤い飛沫がシュールで、僕はとてもウキウキした。
限界を保っていたMの頭がついに弾けた。頭の中から底の見えない黒が辺り一面に広がる。
白だった世界が黒一色に染まる。空も、地面も、破裂したMも、僕も。
視界から得る情報は「黒」だけとなった。
何かに見られている気がした。ふと気付くと、僕の周りを何かが浮遊している。
無数の目玉。
無数の目玉が僕を刺すように見ている。
上を見ても、振り向いても、下を見ても、目玉。
たまらず走り出した。
宙に浮いてるかのような感覚がしたがかまわず走る。
走っても走っても、周囲に浮かぶ眼球がじーっと僕を見据えていた。
目が覚めてしまった
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