2009.1.16

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  視界が開けると、まず目に入ったのがくねくねと異様に曲がった街灯。街灯が触手のようにくねくねと動きながら、滑るように私に近付いてくる。     周りを見渡すと、限り無く広がる闇と所々にある水溜まり。水溜まりに反射した空には胎児が浮かんでいた。     私は街灯のようなものに近付き、そっと撫でた。黒い表面には猫のような黒い毛並みが生え揃っていて、押すと一定の感覚で微かに押し戻され、血液が通っている事が確認できた。     撫でていた場所を思いっきり噛み千切り、再び口を付けて血を啜った。私は歯並びが悪く、犬歯がまるでドラキュラの牙のようになっているので、それを突き刺す事によってしっかり固定され、上手く吸い出すことができた。血を啜っている間、とても性的に興奮していたのを覚えている。     啜った液体は、今までに飲んだどんな液体よりも美味しく、今までに飲んだどんな液体よりも喉の乾きを潤した。     ひとしきり血を啜い、付近の水溜まりを見た。水溜まりに写った私の顔は、昔インタビューウィズヴァンパイアという映画で見たドラキュラにとても似ていた。胎児がそんな私を遥か彼方から赤い目で見つめていた。     起床してしまった
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