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用件だけを伝えた部下は一方的に電話を切ってしまった
静寂を取り戻した室内で再び先の思考に耽る女……
待ち合わせの約束において『待たされる事』に慣れてはいるが『待たせる事』に慣れてない彼女にとって、どんな相手であろうと待たせるべきではない
それが例え自分の部下であっても同じである
艦長
「はぁ~行きたくないけど行くしかないか、あぁ~休みたい……無理だけど」
電話で『艦長』と呼ばれた女は、愚痴を漏らすが夢の事は考えず車へ急いだ
部下
「艦長、大丈夫ですか⁉」
艦長
「あんたねぇ~低血圧の私を『こんな時間』に叩き起こして『大丈夫!?』はないでしょう」
部下
「で、ですよねぇ~(艦長って寝起き最悪で低血圧かよ怒らせない様にせねば)」
仕事場へ向う車中、窓から空を見上げた艦長はふと思い出した様に呟いた
艦長
「クリスマスか……何だか『あの日』を思い出すわ、雪まで降って来ちゃってさ」
部下
「例の『一年前の事件』ですか……やはりあの時に助けてくれた『少女』が気になりますか!?」
艦長
「そうねぇ……『気にならない』と言えば嘘になるわ」
「彼女の力があって、人類最後の砦が消し飛ばずに済んだのよ!?……本当ならあの娘には直接会って『感謝』を言わないとね」
部下
「確かに『そう』したいですが……そうだ艦長、あの最後に受けた『謎の攻撃』は一体、何だったんでしょう!?」
雪の降る景色に昨年の事件をふり返る艦長、部下からの残念な質問に付いていた顎をガクンと落とし、クリスマス漫才よろしくツッコミを放つ
艦長
「あんた馬鹿!?『それ』が分かんないから、未だに苦労してるんでしょうが!!」
部下
「そうでした……しっかし、一時はどうなる事かと思いましたよ」
「我々が事件で被った『あの被害』で犠牲者がいないんだから奇跡ですよね」
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