只木充の猟銃

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     その時、左後方に衝撃音、振動が伝わり、充は青ざめた。    今、人を、轢いた。     「そんな」  厭な感覚は、間違い無かった。充の車はまだ惰性でゆっくり進んでいたが、左側サイドミラーには、ひん曲がった銀の自転車、背格好は判別出来なくとも、倒れた人の姿が映り込んでいた。   「嘘だ、こんなのは嘘だ」  充は反射的に、アクセルを吹かした。回転計は見たことも無い赤いゾーンを指し、振り切れながら震えていた。 「どうして、何故なんだ、何故あいつじゃなくて、俺なんだ! もっと悪辣な運転の奴が居るじゃないか、ああ、俺の人生は目茶苦茶だ! これじゃハッキリ逃げている、こんなことのせいで」   _
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