恋綴 第2巡 夏想い

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桜の花たちが満ち溢れ、風が儚げに散々と、色々なところへ、様々な想いと共に、遠くへ舞い上がる。 その先には、青々と若葉の姿を宿して。 甘やかな香りから、清々しい香りへと変じていく。 君の香りも変わっていく。 華やかな笑顔で微笑んでいた、可愛らしい雰囲気。 気がつくと、 逢わない内に、どこか大人びた色のある表情の笑みをする君をみた。 君は遠くを見つめ、ただ先を遠く、遠くを見つめる。 どこか儚げに、翳りを纏うようなそんな笑みを。爽やかな風が頬を掠める。 青空なのに、風から伝うは、少しの雫。 今の一時だけ、君のために、涙雨は流れているのだろうか。 君の想いと共に。 それがどこか切なく、私の心を焦がしていく。
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