『確信』

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武春が遅い眠りについたその頃。雅の子宮の中では… 静寂が暫く続いた後。再び、胎児は目を覚ました。 とは言っても、まだ瞼は開かないのだが… 最近は目覚めるたびに、着々と意識がハッキリしてくるようで。 😱(いったい、ここは何処なんだ…?) 身体の周りは、ぬるま湯の中につかっているようかのように生温かく。 勿論、目は見えなくて辺りは真っ暗闇なのに、人の気配だけは感じる。 手足なども、まだ金縛りにあったようで、自由には動かせないし、お腹もすかない。 それなのに何故だか、苦痛もストレスも感じない。それどころか、この環境が心地良いくらいだ。 それに耳は聞こえるし、口は開かずとも言葉は話せる。 何処から聞こえるのかまでは解らないが、話の意味もよーく理解出来る。 それ故に… 😱(俺はいったい誰なんだ?何故、こんな所にいるんだ…?) 最近ではそんな事までも、考えられるようになってきていたのだ。 そう… 例えば、記憶喪失になった人が、徐々に記憶を取り戻していくかのように… 胎児は、ふと思った。 😱(そう言えば…よく聞こえてくる女性の声。 やけに懐かしいし、何だか聞き覚えがあるような気がするのだが…)
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