第三話「7月7日」

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虹山の心配をよそに、カジノにはたくさんのお客で賑わっている。   いつもは見られないものが、正面のフロアに設置されていた。 チャリティーの金額を示す電光掲示板だ。 夜が更けていくにつれ、その数字がどんどん上がっていく。   さらにもう一つの、いつもは見られない光景が、十名ほどのセレブ客のみが許された特別室のルーレットテーブルにあった。   カジノの華といえば、高額な掛け金が動くミニマムレートの高い特別室のテーブルだが、普段でも高いレートが、今日はさらに十倍に引き上げられていた。   そのために、使われるチップもふつうの物ではなかった。   額と同等の値打がある本物のダイヤモンドを埋め込んだ特注品に変えられていたのだ。 小さなダイヤが埋め込まれた最低のチップですら、ひとつ一万ドル。 三万、五万と高額になるにつれ、ダイヤも大きく豪華な物が使われている。   ゴージャスな雰囲気を楽しみながら、セレブたちに多額のベットでチャリティーに協力してもらおうという趣旨なのだ。
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