第四話「オッズテーブル」

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「ネクスト・ゲーム」   の声を聞いた寿久子は、チップを一つにまとめて、   「今度は、私も参加させてもらうわ。二回続けて『0』が出るなんてありえないから」   と、身を乗り出した。   ディーラー、山口ひとみ、   プレーヤー、寿久子、   二人の視線が、一瞬、テーブルの上で鋭く交差する。   ボールが、ルーレットのへりを走り出す。   数秒ほど考えたあと、   「レッド!」   寿久子は、持っているすべてのダイヤのチップを倍返しの赤に置いた。   勢いを失ったボールが沈んだのは『赤の21』だった。   二倍に増えたダイヤが、寿久子の前に戻された。   「ネクスト・ゲーム」   余勢を駆って、寿久子は再度、全額を赤に賭けた。   ………………………………カツン。
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