第四話「オッズテーブル」

5/6
前へ
/30ページ
次へ
カラ、カラ、カラ   カラ……カラ……   ………………………………   全ての客、全てのスタッフの、視線が小さな象牙球の軌跡に集中する。   勢いを失ったボールが、へりから回転するホイールに滑り落ちた。   カタン、   カタン、カタン、   ………………………………ぽとり。   ボールが落ち着いたのは……………………   『赤の7』だった。   テーブルがどっと湧いた。   山口ひとみは、敗北感を感じながら、たんたんとプレーヤーたちの前に、二倍のチップを戻す。   寿久子の前には、ひときわ大きなダイヤのチップが、うずたかく積み上げられた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8890人が本棚に入れています
本棚に追加