第四話「オッズテーブル」

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(素晴らしい)   (お見事っ!)   (次の出目はなんですかな?)   居合わせたプレーヤーたちは、女勝負師の強運と度胸に、賞賛の拍手を送る。   「喉が、もうからから。この緊張感がたまらないの」   寿久子は、ふぅとため息をついてから、氷の浮いた水を口にふくんだ。   緊張をといた寿久子が、目の前のダイヤを、確認するように積み直す。   と、…………………………   「あっ!!」   テーブル全員が振り向くほどの鋭い叫び声をあげた。   「どうされました?」   フロアマネージャーの柳原が駆け寄った。   寒さに凍えたかのように、寿久子がぶるぶると震えていた。   その手には、ひとつ10万ドル相当の小さなチップが握られていた。
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