梶野アキ

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  「はよーっス、アキ」 「は、はよ……」 教室に入るなり真っ先に声を掛けてきたのは中学からずっと同じクラスという腐れ縁、香崎優だ 走ってきたため、まだ整わない息でなんとか喋る 「遅刻ギリギリじゃん」 「…でもセーフだろ?」 数回深呼吸して息を整えてから返事をする 「一限、なんだっけ?」 「そういうのを遅刻ギリギリで来た友人に聞くか?…日本史」 「あぁ、小田切センセか!小田切センセの授業分かりやすいし面白いよなー!」 「優には珍しく寝ないよな」 「んな毎度寝てねーって!」 そう、春は今年の4月から赴任してきた社会科教師なのだ 主に日本史を教えている 春の授業は分かりやすくて面白いと評判だ 容姿淡麗の教師、とくればさぞ女子生徒にモテるだろうと思うが、生憎俺の通う学校は男子校 先生自体もだいだいが男 そんな状態でモテるも何もない まぁ、そっち系の生徒もいないでもないが…   
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