序章

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ザーザーと雨が降る… 今日も明日もザーザーと… 止まない砂の雨がザーザーと… ここは【ジューン地方】、 かつては水に恵まれた土地でだった。 現在は緑はなくなり荒れ果てた砂漠が広がるだけだ。 日中は熱風が吹き付けて、 砂塵が舞い上がり視界も悪い。 熱線の下に人影が一つ。 その人物は陽射しから身を守る為の厚手の外套に身を包み顔全体を覆う防塵マスクを装着し、そこからはどのような容姿をは判らない。 唯一つその背中には大きな棒状の筒を背負っている。 一瞬砂の嵐が止みその隙間から隣の空が見える。 黒々とした雨雲が妖しくうごめいている。 それを見つめる視線は忌々しげだ。 その雨雲の下には砂漠の中にある唯一の水に恵まれた楽園都市【オアシス】がある。 それを囲む高い城壁は外部からの進入者を防ぐ。 やがて砂嵐により視界から消えていく。 影は視界を足元へ向け歩みを進める。
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