7人が本棚に入れています
本棚に追加
うざい
俺の今の心境を一言で表すとこうなる
真っ昼間から、この状況はいかがなものか!
青空を仰ぎ、俺、紗月兎織(さつきとおる)は思うわけですよ…まる
当の元凶はと言えば、ただ今ご満悦で昼食中
不運にも俺は、その肉食獣に捕獲された哀れな仔兎ちゃんな訳で…
唯我独尊、ちょー俺様気質な男、虎俄許(こがもと)は勝手に甘酸っぱい空気を生産し続けていた
確かに俺たちは彼氏と彼氏な訳で……、許は背も180センチと高いし、顔立ちも男らしくてカッコいい
だからって――ここは学校で、人目とかあるってのに!
「ああ~っ、もう! すんげぇ暑苦しいしぃ!!」
「そうか? 寒いんだからいいだろ」
「俺はあ、つ、い、の!」
「残念~。俺様は寒いんだ」
許は我関せずと言った面持ちで、更に俺を囲う腕に力を込めた
「うざいうざいうっざーい!」
俺はじたばたと、みっともなくあがくが効果はゼロ
「くくっ。無駄だって判ってるのに抵抗するんだ?」
「うるさい! は、ふいぃっ?!」
許を喜ばせただけで、挙句、耳を甘噛みされる
唇で耳朶を銜え込んだと思えば、軽く歯を立てられた
「やぁっ、め…ろ……ばかっ…!」
俺が抗議しようと拳を振り上げると、今度はねちっこく舌が耳を舐め上げる
最初のコメントを投稿しよう!