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「紗月。抵抗する気なら最期まで頑張れよ」
許は口角をニヤリと歪め、意地の悪い笑みを形作る
その双眸は暗い光を宿し、俺の姿を映し込んでいた
許の耳攻めコースに俺は、呆気なく屈伏させられてしまった訳で……
振り上げたはずの拳は行き場をなくし、所在なさげに宙を彷徨う
「なんか今日のお前って……いい匂いがする」
くんくんと犬のように鼻を鳴らし、許は俺の匂いを嗅ぎ始めた
「なっ!」
「やっぱりだ。甘いチョコの匂いがするんだけど」
許は勝ち誇ったように、切れ長の瞳を細め、俺を射抜く
「そ、そんな訳ないだろう」
女の子みたいだって思われたくなくて、俺は慌てて否定する
「ふーん。そういう態度を取るわけ…」
俺はその視線を直視できない
できるはずもない――こう言うときの許には逆らえない
そう何度も教え込まれた
手や舌で、食い尽くさんばかりに許に貪られ、その熱に支配されたのだから
その時の感触を思い出し、否応なしに躰が熱を帯びる
「顔が赤いな。何を想像した?」
「ち、違う!」
「何が違うんだ?」
許はニヤニヤと口元を歪め、俺の首筋にキスを何度も落としていく
俺を食い尽くしたあの日と同じやり方で……
「ば、バカっ!?」
許の大きな左手が器用に、俺のシャツのボタンを外す
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