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キョウは革で出来た鞄のような物を腰に付けていて、そこから石を取り出しカチカチと打って薪に火を付けた。
「へぇ。すごいね」
僕は思わず口に出した。
普通に火打ち石だけで火がつくとは思ってなかった。
「あぁ。この石は少し特殊な石でね。」
『特殊』という言葉を聞いて僕は興味を示したが、キョウがスッと元の鞄に直した所を見ると、あまり見せたくないような感じだ。
僕はあえて何も聞かないことにした。
僕は火の横にある黒い物体に目をやった。
先ほどキョウが置いていたものだ。
「うわっ!」
その黒い物体は全体を短い毛で覆われており、長い爪が見え隠れしていた。
「ははっ。モグラを見るのは初めてかい?」
キョウは笑いながら聞いてきた。
モグラ…実際に見たことはなかった。
「この辺ではそれぐらいしか食料がないんだよ。」
キョウはナイフを出してモグラを持って背を向けた。
「免疫がないなら見ない方がいい。食欲を無くすかもしれないからね。」
そう言われて僕は慌てて後ろを向いた。
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