😍ｻｰｸﾙﾒﾝﾊﾞｰ小説作品集

🌷第１回小説選手権🌷

　
『誓いの証』
　　作：RomC.C.08

雨の日はあの記憶が蘇る。
三年前のあの記憶が。

両親が旅客船沈没事故で死んだ。
遺体も見つからなかった。
当時小六だった妹の要は、ｼｮｯｸを隠しきれずにその場で大声で泣いていた。
僕も泣きたかった。
けれど、僕が泣いてしまったら、要がより悲しむ。
不安になってしまう。
だから、雨が降りしきる外で、僕は声を殺して泣いた。
雨が涙を洗い流してくれるよう、上を向いて泣いた。
冷たい雨に濡れながら、僕は神に誓いを立てた。

『これからは僕が要を守る』

と。
要が泣く時、僕はそれを洗い流す雨になろうと。

最近は女性連続殺人事件なんてものが僕らの街で起きている。
要も狙われないか心配だ。
漸く笑ってくれる様になったのだから、大切な妹をこんなものに巻き込みたくはない。
それに、最近の僕の体の変化だ。
決まって紅い月の夜の翌朝、僕の体は血の臭いに包まれている。
その事で、悩む僕を見て、要も不安がってしまっている。
早く解決しなくてはな。
…そう言えば、連続殺人事件も紅い月の夜に限って起きている。
まさか…な…