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『おふくろー…目、開けてみてくれー…』
『おふくろー?寝てるのかー?』
『オレがわからんかー?』
バァチャンの耳元で、ずっと声をかける父親。
『ばぁちゃーん!ばぁちゃーん!』
サタカも呼んだけど、やっぱり反応はない。
『………お父さんはもうずっと…バァチャンが目開けてるとこを見ちょらんとじゃ……』
バァチャンの汗をふきながら、父親がそうつぶやいた。
はじめて見た…父親の淋しそうな一面。
自分の母親が、ずっと寝たきり、意識もない、会いに行っても自分をわかってもらえない…
でも父親は笑顔を絶やさない。
サタカのバカにつきあいながら笑ってる。
内心は、どれだけつらいんだろうか…
サタカが同じ立場になったら…
父親のように笑顔を保てるのだろうか…
『さて、帰るか!』
『………ばぁちゃん!!』
気付いて。目開けて。お父さんを見てあげて。
『ばぁちゃん!ばーちゃん!!』
………。
『…帰るぞ😃』
『………うん…。』
どうか早く、ばぁちゃんが意識を取り戻しますように………
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