赤ずきんだった何か。

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 その昔、どっかの国に赤いずきんがいやによく似合う女の子がいました。  なんでこいつ普段から防災頭巾被ってんのとかは聞いてはいけません。童話世界のお約束です。  ある日赤ずきんは母親にこんな事を頼まれました。 「森の奥に体弱ってるくせに口だけは達者なクソバb……お体を壊して療養中のあなたのお婆様がいらっしゃるのだけど」  母親が一瞬聞いた事のない口調で何事か言ったのを、赤ずきんは聞かなかった事にしました。  母親はわずかに視線を逸らす娘に構わず続けました。 「食前酒が切れたとかほざいて来やがtt……仰っていたから、悪いけど届けて差し上げて?」  赤ずきんは母親の笑顔がひきつっている事に気付きはしたが、あえてその事に触れませんでした。まだ幼いのにとんだ世渡り上手です。  なんとなく気乗りしなかったものの、赤ずきんは仕方なくおつかいに出掛けました。
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