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そうこうしている内に、赤ずきんはお婆さんが休んでいる小屋に到着しました。
「お婆様、お加減は如何?」
聞きながら、赤ずきんは扉を開けました。
すると目の前には、なんとなく見覚えがある気がする二足歩行の狼と、その狼に向かってムエタイの構えを取っているお婆さんだと信じたくない誰かがいました。
(――……)
赤ずきんは本能で関わってはいけないと悟り、一旦扉を閉めました。
大きく深呼吸してから意を決してもう一度扉を開くと、今度はわざとらしく咳き込みながら横たわるお婆さんと、小屋の隅の方で膝を抱えてうずくまる狼が視界に入ってきました。
(――もう、なんでもいっか……)
色々な事に疲れた赤ずきんは、考える事をやめました。
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