カルテ:1

3/7
前へ
/10ページ
次へ
「何ですか、Dr.」 面倒臭い事では無いと良いが…。 「済まないがコーヒーを煎れて貰えないかね?」 「構いませんが…Dr.が煎れた方が美味しいと思います。」 そうなのだ。 Dr.はコーヒーやら紅茶やらを煎れるのがやたらに上手く、僕はよくDr.の煎れたてを啜りつつ、デスクワークをしたりしている。 …しかし、Dr.は必ず僕にコーヒーをねだる。 僕の、特別美味しくも無ければ、特別不味いわけでもないコーヒーを。 少し考え込んだ僕を、Dr.は子猫を愛でる様な目で見ている。 何となくこっ恥ずかしい…。 「クレバス君も飲むかい?」 「クライスです、Dr.…はい、是非。」 Dr.は僕の返事は、唯の照れ隠しだという事に気付いているであろう。 その証拠にDr.は、益々笑みを深くしている。 …何だかむず痒い。 「フフ、ではクラブ君の分は私が煎れようか。」 「クライスです、Dr.」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加