>奈々美との時間

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奈々美は涼と同じ施設で育った。施設の中ではまだ小さかった涼を献身的に世話した。 奈々美は18で施設を飛び出し旅館の住み込みで働いていた。看護士になりたいという夢を持ち独学で勉強にも熱心だった。そんな夢みる生活も束の間。旅館の息子と恋愛に墜ち妊娠。旅館をおいだされ出産。貯金を使い果たし中洲で風の仕事をしながら2歳の娘と生活していた。 そんな奈々美と涼は中洲で偶然再開した。 2人はお互いの傷を舐め合い、求めあった。 失うものが何もない涼は、なんのためらいもなく奈々美のアパートへ転がり込んだ。 奈々美は施設にいる時のように涼に尽くした。 3人の生活は順調に見えたが……、涼の仕事は全くうまくいかず奈々美の稼ぎに頼りっきりになった。 涼は自分自身を蔑み自暴自棄に…、酒を飲んでは喧嘩を繰り返した。 あの日…。 ―修司に拾われてなかったら、涼は人間らしく今もまだ呼吸していましたか?―
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