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2章 事件
学校から出ると、龍乃達五人は傍から見れば普通とは言えない。(学校を出なくてもだが…)特に夜はそれが明らかだった。
五人、いや、大勢がとあるビリヤード店に集まる。五人を中心とするグループ、『四神』の本拠地だ。『四神』は蓮を当主、他の四人を幹部とする。縄張りも広く、『四神』の総人数は二千五百人を越える。また、その人数をまとめ上げるだけの力を龍乃達は誇示していた。
――『店』は縄張り内のいたる所に点在する。
「お、朱香来たか。お土産は?」
龍乃達は『店』の二階の台を使う。そこからは店内をだいたい見回すことができるようになっているからだ。
そこへ朱香が上がってきた。
「はい。マカロン買ってきたわよ」
龍乃に笑って、階下を見る。
「みんなの分はカウンターのとこに置いといたから。飲み物と一緒に持って行って。みんなにも伝えてね」
それを聞いたある人は「ありがとうございます。」と返し、ある人は他の人へと伝えていく。『店』のあちらこちらから朱香への礼の声があがった。
それを応えながら朱香は龍乃達が打ち合っている台へと近づく。
「はい。これがみんなの分ね。買ってきたんだから勝たせなさいよ」
朱香が意地悪そうな笑みを浮かべて言う。
「ヤだね」
「手加減する訳ないだろ。」
龍乃も意地悪そうに笑う。白夜は不敵に目を細めて朱香を見る。
蓮と岳志も目だけで手加減はしないと示している。
「もぅ!また負けたぁ!少しは手加減してくれてもいいじゃん」
「ダメだぞ。一応勝負は勝負だからな。朱香だって手加減されて勝っても嬉しくないだろう?」
散々負けて音を上げる朱香に岳志が優しく言う。
「まぁねぇ…」
そう言いながら頬を膨らませる朱香を岳志は微笑みながら見つめる。
「さぁ、もう1ゲームしようか」
朱香が文句を言いながらも楽しんでるのを見て、蓮は言いながら玉をセットする。
そこへメンバー――『四神』の仲間――が二人、店に駆け込んで来た。
「蓮さん!繁華街の裏道でメンバーが二人ほどやられたました!!」
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