2章 事件

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五人は繁華街のゲームセンターで遊んだあと近くの『店』に行くために大通りを抜けて裏道に入ったと言う。その道が近道でいつも通る道なのだと。 「そこでいきなり後ろから殴られて!すぐに殴り返そうとしましたが逃げられまして…」 「最初に殴られた二人が頭から血を流して重傷なんです!」 駆け込んできた二人――樋高俊明(ヒダカトシアキ)と笹井彰(ササイアキラ)が交互に話す。動揺しているようではあるが的確に状況を知らせてくらた。 「で、その二人は?」 「河沿いの『店』に連れて行きました。もう一人がそっちで状況を説明しているはずです。」 龍乃の問いにも正確に答える。 そこらへんは慣れなのだろう。間借りなりにも不良である以上喧嘩をすることは避けられない。 「蓮?」 二人の話を聞きながら電話をしていた蓮に龍乃が声をかける。 「うん。あっちの『店』には連絡取ったよ。怪我の応急処置はしたって。とりあえず気は失ってるけど大丈夫みたい。一応、家の病院に連れて行くように指示しておいたから」 それを聞いた二人はもちろん、その場の全員が安堵の息をついた。 「で、どうする?」 放たれたその言葉に全員が発した本人――白夜を見た。 「ん~…そいつらってどこかのグループのやつらなのかな?判る?」 蓮が困ったように聞くと、二人は俯いて首を横に振った。 「じゃあ、今は何もできないね」 蓮は溜め息混じりに言う。 「けど、やられっぱなしなのは嫌よ」 「朱雀の言う通りです。俺達、やつらの顔なら覚えてますよ」 朱香が言うと彰が賛同する。 朱雀とは朱香を示す。『四神』はその名の通り、幹部にそれぞれの神獣の称号を与える。蓮を中心の「黄龍」とし、龍乃を「青龍」、白夜を「白虎」、岳志を「玄武」、そして朱香を「朱雀」としている。広大な縄張りもそのそれぞれの方角へ分けて統轄している。 「そう言っても探し出すのは無理だろう。どうやって探すんだ?」 「しかも無差別か、『四神』を意識してかもわからない。」 岳志と白夜が言うと彰はまた俯いてしまう。朱香は頬を膨らませる。 それに対して龍乃が言い聞かせるようにこれからの意向を告げる。 「とにかく今は何もできない。これは結論だな。様子見るしかないよ。もし『四神』が狙われてるなら、やつらはまた現れるからね」
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