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「そしたら現れないだろう。そいつらもそこまで馬鹿じゃないだろうし。すぐ逃げるってことは喧嘩に強くないんだろ。」
「まぁ、そうかもしれないわね。『四神』の幹部だと知って襲ってくるなら相当の馬鹿よね」
朱香が頷くと他の三人も頷いた。
「チェーン変えればわかんないし、いいんじゃね?」
「そうだな。チェーンなら『店』の奥に予備がたくさんあったと思うぞ」
岳志は蓮を見て言う。蓮もまた頷いた。
チェーンとは、『四神』の全員が手首につけているブレスレットである。
シンプルだが複雑な模様が刻み込まれているので、一目で『四神』だと分かるようにできている。どんなときでも全員が着けている。
そのチェーンの本数で位置がわかるようになっている。当主は五本、幹部は四本、長が二本、他のメンバーは一本という具合である。当主と幹部にはそれぞれ違った色の宝玉が付けられているが。
『四神』には上下関係はほとんど存在しない。ただ、一目で見分けるために変えているだけなのだ。
「ま、暗い話はここまでにして、これ食べない?今日はクッキー焼いてきたの。結構上手く焼けたのよ」
朱香は気を取り直したかのように弁当を入れた袋から市販で売っているような可愛いらしい箱を取り出した。
その中にはこんがりと綺麗に焼けたクッキーが入っていた。
朱香は時折こういうものを作ってくるのだ。
「お、サンキュー!」
一番最初に手をつけたのは岳志だった。
「ん、うまい!やっぱ朱香はこういうの上手いなぁ」
朱香はそれに満足したようで、他の三人にも回した。それを微笑ましく見ながら三人もクッキーに手をのばす。
「甘さも丁度いいし、美味しいね」
「朱香のお菓子は売ってんのにも負けないよな」
「うん。うまい。」
それぞれに絶賛する。
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