Home

2/3
前へ
/3ページ
次へ
見覚えのない風景 いつもと変わらない色の空 真っ昼間の大通りを、スーツにカバンのサラリーマン、ヒールで小走りのOL、明らかにおさぼり中な学生達が行き交う 俺だけが立ち止まり、助けを求める様な目でオロオロと辺りを見回していた よし、時間はある、一旦頭の中を順を追って整理をしてみよう。 小、中、高、それに大学 その全てを何不自由なく、親が敷いたレールを綺麗すぎるぐらいに、更にはダイヤを崩す事無く、俺は通過して来た 時には見事な程のカットバックドロップターンも華麗に――(略 とりあえず、 俺は、やりたい事なんもなしに、なんとなく流され続けて生きてきたんだ しかし!! ある出来事が嫌になり、大学を辞めた今、 生きてくためにはしっかり働かなければならないのである!(残念ながら) …その事を3.5分程思考した結果。 どうせ働くなら遊べる都会じゃー!! とか、考えて家も逃げ出す形で都会に来たけど、仕事と住む場所見つけてなかったよ 「てへ」 あり得ない過ち、その事を考えながら一人呟き歩く、そんな俺の背中は今、負のオーラを抱えているだろう。 というか完璧に、人生という道の方向音痴 「…ふ、完璧に遭難だ」 通行人達の間からすり抜けてきた冷たい風は、俺の周りで吹き荒れる ああ お父様、お母様 立花洋介(20歳)は完全に今、都会で独りぼっちです。 恥ずかしげも無く祈りのポーズを大通りで堂々とやっている そんな中、視線を感じて振り返ると目が合った …黒猫 「チッ、」 ゴミを漁る黒猫め、見つめてたら舌打ちまでして更には路地裏へ逃げ込みやがった もはや猫にも見捨てられた気分だ。 「お腹も空いて力が出ない…」 そしてどこかで聞いた事がある様な台詞を、洋介はポツリと溢し風の吹くままトボトボと歩きだす
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加