男に生まれるという事

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すべてが終わり一服している聡子の背中を見ながら俺も煙草に火をつけた。 「やっぱりさ、私、女のままでいいかな」 そう。聡子は女のままがイイ。俺の為にも、聡子の為にも。 「孝史ってさ、なんで結婚したの?しそうもなかったのに」 確かに俺は結婚をするようなタイプの人間ではなかった。 学生時代は自分という存在を持たず、ただ周りに歩調を合わせて生きているようなものだったから。 会社員になり、自分の自由が制限された時、深い悲しみに襲われて、ひとりぼっちな自分に怯えた。 そんな時に出会った今の妻と電撃的に結婚した。それは不自然な自然。 子供ができて周囲からは幸せそうと言われる家庭を築き俺もそれに満足している。 「孝史ってさ、私の相手してる時は昔っから寂しそう。怒らないで聞いてね…」 俺が怒るなんてことは、まず無い。今、この時点で感情は無いんだから。
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